
男子寮
第2章 快斗×利央 はじまり
「早く行け、チャイム鳴るぞ」
奈美子の言葉をきっかけに、俺たちは教室に戻った。
が、見事に遅刻した。
「いいか、お前はただ黙っていろ。」
廊下に立たされた俺たち2人の前に、ハゲの数学教師がきた。
俺は快斗に言われた通りに、ただ黙っていた。
「まさか、快斗君が遅刻するとはね~。」
「僕もビックリです。」
「理由は?」
「実は、図書館から帰る途中、彼が倒れていまして、同じクラスメイトとして、見捨てるわけには…。」
やっぱり、猫かぶり。
「理由にならんな~」
「ですよね…。仕方ない、理事長に聞いてみます」
「なにをだい?」
「理由になるかどうか。」
ついに親父まで出しやがった。
「いや、仕方ない。今回は、助けたくもない彼を、仕方なく助けた優しい快斗君に免じて許してやろう。」
まぁ、そうなるわな。
「本当ですか?ありがとうございます」
なにが、『本当ですか?』←だよ。狙ってたくせに。
