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秘密の時間は私のもの

第23章 止められない止まらない

俺もそんな感動的な場面に飲まれ、涙を....


なんて訳にはならず。


その光景をただただ冷めた目で見詰める。


鬼?


心が無い?


ではそんなお前らに問おう。



今の滝波の言葉、涙するとこあったか?



少なくとも俺にはあったようには思えない。


俺、軽く見放されてたし...


確かに颯太のことは考えてた節が多かった。


しかし、その言葉の前には自分の嗜好だだ漏れだったし


颯太じゃなかったらどうでも良かった、みたいな言い方してたぞ。


こいつ。


感動的な空気が流れる中、どうしてもそれに納得出来ず


もやもやする俺。


そんな俺を他所に颯太の奴は、滝波から離れ


ぐちゃぐちゃの顔で俺に近付く。


そしてぎゅっと抱き着き、またもやわんわん泣き出した。



「ひっく...ごめ、ごめんなさい.....うっく...僕、ぼ、く、ぅう....亞にひどいこ...ひぅ....」



.....なんだろう。


確かに颯太にされた事は、度の過ぎたことだと思うし


下手すりゃ、息子にさよならバイバイの危機もあったから


謝って普通だと思うのに。


自分の今までしてきた行為に比べたら、これくらいと思ってしまい


颯太の涙も相まって変な罪悪感に苛まれる。


それにこの空気のせいか、ちっとも入り込めない。

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