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Calling Fall

第2章 儚く散るように







振り返り







その子は



ふわっと



花のように笑った



綻ぶという言葉そのままに







愛しいその人の笑顔を前に


僕は














パシッ




「え……」



「あっ……ご、ごめん
でも!……」




僕は掴んだその細い手首を離せなかった




自分でもよくわからない




だけど、とてもこわかった






「どうしたの」




彼女は驚いただろうに

また笑みを浮かべ

俯いたぼくを覗き込む





こわい




儚い笑顔は


儚い君は



淡く溶けて



散っていきそうな




消えていく













何も言えないぼくは



彼女がさらに重ねてくれた手を取り


彼女の手首を離す






「なんでもないよ」






ぼくは笑った





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