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黒の青空

第8章 6

日付が変わった夜中

あまり音をたてないように外に行く準備をした

理緒に厚着させて自分のコートを着さして

自分も同じことをした


「ほんまに外行くん?」


不安そうに聞いてきた


「夜中やし誰もおらんよ」
「外寒い?」
「ちょっと寒い」
「んー…」
「星きれいかもしれんで」
「それはみたい」


真顔で答えられてちょっと笑った

そしたら理緒は安心したような顔になった

俺が笑うといつもそう






外に出てちょっと歩いていた

風はないものの冷たい空気に一瞬で包まれた


「理緒平気?」
「めっちゃ寒い…」


理緒は異常なまでにガタガタ震えていた

ずっと部屋にいたからだ

急に外に出て抵抗が弱くなってるらしい


「家戻る?」
「……………」
「……戻ろう」


理緒の手を引いて帰ろうとしたけど

理緒はその場に座りこんでしまった


「大丈夫?」
「………」


反応することも辛いらしい


俺は理緒に背を向けてしゃがんだ


「乗って?」


理緒を軽く引っ張りながら背中に乗せた

理緒をおんぶして立ち上がった

軽くて逆によろけた

背中越しに震えが伝わる

安易に考えてた自分は馬鹿だ














部屋まで戻って

理緒のコートを脱がせてベッドに寝かせて

自分もコートを脱いで一緒に横になった

布団と一緒に抱きしめた

理緒の頰に触れると冷たくて

髪を撫でると髪も冷たくて


「…ごめん…」


俺はその時初めて謝った

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