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黒の青空

第8章 6

「今日の撮影どうやったっ?」


部屋のドアを開けると

猫を2匹抱えた理緒が真っ先にそれを聞いてきた


「別に普通の…」
「もっと具体的に!」
「ぐ、具体的に…」


理緒の目は撮影してる時の目に変わってる

久々にその目を見た

楽しそうな、真面目な、真剣な、マジな…


「んーーーー……そこはやっぱ理緒がいつも言うとこやからなぁ」
「役者側から感じるものないん?」
「ない」
「即答?おいこらお前喧嘩売ってるん?」


そう言うと理緒は抱えてる猫2匹を俺の顔に押しつけてきた


「だ‼︎?やめろよ、猫…武器に……ぶっ…」


猫の毛が口に入る

理緒は猫を離してくれた

すぐに俺は机のティッシュを取って猫の毛を吐き出した


「もっと真剣に取り組んでよ」


落ち着いたのか

落ち着いた声で理緒は言った


「うちは撮影したいし、みんなの役やってるとこみたいし、春と色々意見出し会いたいし、洋が今やってる役も深めていきたいし…やけどできないんやから」


全部今はできないんやから

理緒は悲しそうに言った


『だったらこの関係はなんなん』
「…」
『とか思ってんでしょ?』


いつの間に真っ暗なとこに

いつの間にこいつの世界に引きずり込まれたんかわからない

また俺が現れた


『どう?一瞬めんどくさくなったんじゃない?』
「…」
『あれあれ?黙っちゃうん?』
「……あんま俺の心情探るな…掘るな…」
『ストレス溜まんない?』
「ストレスって…」

「洋?」


視界は急元に戻った


「ごめん、偉そうなこと言った、かも」
「…」
「…洋?」











「外に行こう」
「え?」
「家族が寝たら、夜中外行こう」


唐突な提案に

自分もわけがわからなくなっていた

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