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特別刑務所(仮)

第15章 誕生。

夢を見た。
今の九条よりも若い。
ああ、写真に写っていた九条だ。
どうして泣いているの?
どうしてそんな目をするの?
だめだよ。
銃を構えて何をする気?
撃ったら・・・

その瞬間血飛沫が目の前を赤く染める。
跳び跳ねるその血は九条の体にもかかる。
鬱陶しそうに顔にかかった血を拭く。
死んだ相手をまるでごみのような目で見つめ
その人の上を歩く。
そこには道しかないような顔で人を踏みつける。

だめ、そんなの
九条!
九条!
聞こえてない?
お願い、もうその手を汚さないで。


「瑠依?」
「九条?」

目を開けると心配そうに覗く九条の顔。
泣いていたのか頬に伝う暖かいもの。
夢を見た気がした。でも、思い出せない。

「大丈夫か?」
「ん。九条が側にいてくれれば恐くない。」
「瑠依・・・愛してるよ。」
「えっ?」
「なんでもねーよ。」

本当は聞こえていたけど、もう一度聞きたくて
わざと聞き返す。
でも、顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。

「俺も九条のこと好き。いっぱい、いっぱい愛してください。」

背中に抱きつくと、犯すよと耳元で囁かれる。
九条になら何度だって良いよと言うと疲れたから今日はもうしねーよと言われた。

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