テキストサイズ

特別刑務所(仮)

第21章 佐野。

「章尭・・・なんで?なんでだよ・・・」


返事の帰らないその扉の向こう側に何度も叫んだ。
それでも聞こえるのは通路のなかで反響する自分の声だけ。
真っ暗なその通路で数時間一人泣き続けた。


いつの間にか眠ってしまったらしい。
目を覚まし、自分の現状理解する。それと同時に色々なことを思い出していた。
あの日俺がここに来るきっかけになった事。
章に初めてあった日のこと。
夕日と増田さんに女装させられたこと。
走馬灯のように駆け巡る。


「章尭・・・
二度と会えないなんて俺嫌だよ・・・
章が好きだよ・・・」


もう一度だけと扉に向かおうとしたときだった。
ポケットに何か入っているような違和感を感じた。
手を入れ確認すると一枚の手紙と、ペンダント。

「あれ?このペンダントって・・・
それより手紙・・・・・・章尭
俺もだよ。」

手紙には一言、ただ愛してると。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ