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片思い

第10章 固想い

大丈夫。言えるはず。


体と心が震える。


叶わないなんて思いたくない。
私はあなたに恋をした。
諦めて終わりたくない。




ドキドキ…

「あたし…本当はずっと前から………
と、富岡くんのこと……」

ドキドキ…


あと、少し…////


「す、好きだったの!」




言っちゃった…


どーしよ…富岡くんの顔見れないよ…



今、どんな顔してるの…?



返事が返ってこない…



ゆっくりと顔をあげてみる。


富岡くん…
赤くなってる…
すごく驚いてる…

そして

「いや…えっと…」


怖い…
富岡くん困った顔してるよぉ…



「おれ…付き合うとか興味ないんだ…」




……………………。

やめて…それ以上言わないで。





「だからごめん…。」




涙が溢れる。
でも泣いてるとこなんて見せたくない。
重いなんて思われたくない。




「そ…っか…、そーだよね…」

どーしよ…
声が震えてるよ…


「ごめんね…忘れていいから!」


泣きたくない。


せめてあなたの目に写るときの私は
笑顔でありたい。

ありったけの笑顔で
あなたにさよらな言うね。

「バイバイ」



あなたの目に最後の私は
キレイに写りましたか?

***

図書室を小走りで出て
家とは逆方向に走った。


「……っ…うぅ…ひっく…」


我慢してた涙が溢れる。


「ふぇぇん…嫌だよぉ…」

「富岡くんのこと…好きだよぉ…」


涙が止まらない。



あたし…何のために恋したのかな…
恋って泣くことなのかな?

叶わないってわかってたけど
少しぐらい信じてみたかった。
キセキにかけてみたかった。


諦められないよ…。


こんなに好きになってるんだもん…



あたしね、努力したつもりだったんだけど
努力が足りなかったのかな。
それとも、何したって、どうしたって
叶わないって決まってたのかな。


「いや…駿…くん…」


離れていかないで。

私のそばにいて。



お願い…
嘘でもいいから言ってよ。
『おれも好き。』
その言葉だけで
私は世界で一番幸せになれるから。

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