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妖魔滅伝・団右衛門!

第6章 妖魔滅伝・嘉明!

 
 部下達は嘉明の後を追い冷や汗を垂らすが、嘉明は振り返らず、平坦な口調で言い切る。

「いや、これは私が仕留める。真に脅威はいつ現れるか分からぬ鬼だ。背中は預けたぞ」

「鬼も蜘蛛も我々が倒しますから!」

「お前達に任せきりで守られてばかりでは、私の武人の血が許さぬ。それに、鬼はともかく……蜘蛛は、所詮虫けらよ」

 平坦な口調だが、後ろの部下達には見えないその瞳はぎらぎらと輝いている。殿であろうと、元々は槍働きでのし上がった身。戦の匂いに臆するどころか、燃え上がるのは性だった。

 嘉明は大人しいようで、一度言い出したら聞かない頑固者である。それを重々承知している部下達は頭を抱え、子蜘蛛を払いながら警戒を強めた。

 嘉明が穂先を向ければ、蜘蛛は足を前に組んで防御の体勢を取る。だが嘉明は組んだ足の間、僅かな綻びを狙い槍を突く。一点を鋭く突き刺す攻撃は、蜘蛛の胴体に深く傷を付けた。

 蜘蛛が仰け反ったのを、嘉明は逃がさない。刺さる槍を素早く抜くと払い、足を二本切り落とす。さらに払った槍を翻すと、足という盾を失った体へさらに深く槍を突き刺した。
 

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