妖魔滅伝・団右衛門!
第9章 最終決戦・団右衛門!
「ぼくのせいで、こんな事に……ごめんなさい、ぼくが、弱かったから――」
「よく分からぬが、お前が頭を下げなければならない事などないはずだぞ。確かに謹慎は命じたが、お前は充分に反省の機を得たはずだ。だからこそ今日から奉公を認めたんだ」
八千代は嘉明の胸の中で、小さく首を振った。嘉明が頭を撫でても、八千代が悲しみから解放される気配はない。何が八千代を泣かせているのか思い返そうとして、嘉明は違和感に気付いた。
(そういえば……ここはどこだ? 私は何をしている? 確か、団が帰ってきて――)
嘉明の胸によぎる、底のない不安。嘉明は八千代を強く抱き締めるが、八千代を慰めるためではなかった。
「……ここは怖いところだな。八千代、帰るぞ。城なら安心できるだろう」
だが八千代は首を横に振り、嘉明から身を離す。
「ぼくには帰る場所がないから、帰れません。帰る場所なんて……もうとっくの昔に無くなっていたんです」
「そんな事はない。過去どうだったかは知らないが、今のお前の帰る場所は私の元だ。八千代は、私の小姓なのだから」