妖魔滅伝・団右衛門!
第9章 最終決戦・団右衛門!
団右衛門が果たすべき責任。心に重くのし掛かる罪の意識は、嘉明の唇一つで忘れてしまいそうになる。だが、同時に響くのは八千代の声。気遣いに舞い上がる心の影には、団右衛門を監視する目があった。
(オレが……許されていいはずがない。あいつに甘えて、自分のした事を忘れていいはずがない)
今は汚れ一つないように見える、刀だこの出来た両手。この手は誰が許そうと、この地で初めて出来た友を殺した手なのだ。
団右衛門は立ち上がると、静かに部屋を出ていく。廊下を歩き人とすれ違えば、皆団右衛門を英雄として扱い尊敬の目を向けた。しかし団右衛門はその目を振り切り、衝動のまま走り出す。城門を蹴り、破るように開くと、目的も未来も見えないまま、奥底から響く叫びのまま駆けていった。
惑いの足音は、土に大きな傷を残して去っていく。一二三はそれを感じ取ると、城の柱に手を添え、目を閉じた。
(この足音……団さん? 全部終わったのに、どうしてこんなに、泣いているような音が……?)
一二三は首を傾げ、手を離すと嘉明の元に向かう。その間にも、足音は隼のように早く、遠くに向かっていた。
つづく