妖魔滅伝・団右衛門!
第2章 嘘つき団右衛門
「――ちょっと待て。必要なのがお前の精なら、こんな風に私を抱く必要はないんじゃないか? お前が一人でそれを勃たせて、極まりそうになったら入れればいい。私まで達する必要性はないだろう」
鬼のように嘉明の精が必要ならともかく、今回は団右衛門の精が目的なのだ。中へ放てばいいだけならば、嘉明が乱れる必要はない。至極当然の分析だが、団右衛門は嘉明の冷静さに歯痒さを覚えた。
だが下手を打って、みすみす嘉明を逃すのは惜しい。団右衛門は焦る内心を隠し、記憶する語彙を脳内で総動員して言い訳を考えた。
「それは……受け入れる姿勢がなけりゃ、効果が半減するからだ。ほら、飯だって腹一杯の時に嫌々食うより、飢餓した時の方が染み渡るだろ? あんたが欲しいと望む程、体は貪欲に精を吸収する。嫌々やってだらだら時間を掛けるなら、きっちり求めて力を得た方が効率的だと思わないか」
「つまり私が自ら、お前を欲しがれと」
嘉明は心底嫌そうな顔をしているが、下の嘉明自身は先程から固さを増している。まだ削がれていない欲を見る限り、それは気乗りしていない人間の態度ではない。