妖魔滅伝・団右衛門!
第3章 加藤と加藤と団右衛門
鬼と接触し精を取られたとなれば、鬼の精も注がれたと考えるのが自然である。清正にとってそれは推測だが、団右衛門は鬼に犯される最中の嘉明も目撃している。流石に魂を食い破られる程何度も注がれてはいないだろうが、一度でも危険に晒した、その事実に変わりはなかった。
清正が団右衛門を疑い、自ら決着を望んだとしても、文句は言えなかった。団右衛門も清正の立場ならば、殺す方が嘉明のためだと考えるだろう。
「――それでも、嘉明は殺させねぇ!」
一度は同じ結論を出そうとした団右衛門だが、もうあの時と状況は変わっている。団右衛門は、嘉明の微笑みを見てしまった。体の芯まで知ってしまった。
「運命感じたんだよ……こいつの側にいると、オレは最っ高に胸が高鳴るんだ。こいつのためなら面倒な奉仕だろうがやる気になるし、つれない態度を取られて腹が立っても、離れたいと思わねぇ。こいつの側にいる事が、オレの生まれた意味なんだ」
団右衛門は刀を抜くと、清正に向けて構える。
「口で言っても、どうせ納得しないだろ? オレが鬼を倒せる器量の持ち主だって、力で証明してやる」