妖魔滅伝・団右衛門!
第3章 加藤と加藤と団右衛門
「そうだな。この国に漂う鬼の邪気に、言葉などなんの武器にもならない。嘉明を助けられる自信があるなら、俺を力でねじ伏せろ!」
清正の持つ刀に宿る破邪の力は、団右衛門のものより数段上である。瞳に宿る闘気も、戦場を馳せる勇名に恥じないものだった。
(大口を叩いてはみたが……こりゃ鬼以上に強いかもな)
これは、本来戦いを回避するのが正しい相手である。しかし男として、戦わなくてならない相手でもあった。
「ただしお前が負けたら、俺は嘉明の首を取る。それを餌に鬼の首も取ろう。そして全てを秀吉様に献上し、嘉明を殺してしまった咎を償うため、俺も腹を切って死ぬ」
清正は初手を受け止めようと、隙もなく構え団右衛門の様子を窺う。
「おいおい、あんたの命の行方まで俺の腕に掛かってんのかよ……重い勝負だな」
嘉明と清正、二人を一気に失えば、秀吉にとっては大きな痛手だ。そんな事になれば、原因を作った団右衛門は確実にお尋ね者となる。自分はもちろん、嘉明や清正、何の関係もない秀吉の運命すら、団右衛門の肩にのし掛かっていた。
つづく