A heart and wound
第7章 疑櫂
翔「雅紀、落ち着いて。
息吐くこと意識して、ゆっくり呼吸して。」
雅「はっ、はっ、はっ、は…」
翔「雅紀…」
翔ちゃんが、ぎゅっと俺を抱き締めた。
俺が落ち着くまで、そのまま翔ちゃんは抱きしめていてくれた。
時々、ごめんね、と呟きながら。
雅「も、大丈夫、だから。」
そう言って、翔ちゃんから離れようとした。
そんな俺をさらに強く抱きしめて、
翔「まだ、身体震えてるじゃん。いいよ、落ち着くまでこのままで、ね?」
その時、俺の中を真っ黒い心が支配した。
だめ、そんなこと。
分かってたけど…
雅「ねぇ…翔ちゃん…」
翔「ん?…どした?」
そう言って、翔ちゃんは少し微笑んだ。
俺は…ズルい。
雅「俺、やっぱり、翔ちゃんがいないと生きてけないや…」
翔ちゃんの身体が一瞬震えた気がした。
翔「…俺、も、だよ。」
ごめん、ごめんね翔ちゃん。
弱くてごめん。
そんな風に、縛り付けてごめんね…
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