愛の裏側
第2章 *奪われたハジメテ
彼が来るのを学校の玄関で待つ私の姿。
傍から見たら彼氏を待つ彼女、に見えるのだろう。
けどそんな訳はなく。
「藍。ごめん、待たせて」
「あ、いや、良いんです。今日は部活も休みですし…」
「そっか。俺も今日は休みだった。…じゃ、行くか」
そう言って私の手をとる浅桐先輩。
どこか懐かしく感じるその大きな手は、不思議と私を安心させた。
そういえば、デートをしたことは今まで何度かあるけど、制服デートって何気に初めてかもしれない。
胸の辺りがとくんとくん、と波打つのがわかる。
とても緊張する。
手が汗ばんでるんじゃないかな、とか髪変じゃないかな、とか色々考えたり…。
「…藍って、今まで彼氏とかいたことあんの?」
その唐突な質問に少し焦る。