愛の裏側
第2章 *奪われたハジメテ
目をハートにする1年生の女子達が彼を囲む。
「…先輩って…!」
黄色い声が廊下に響く。
そういえば未央が前に『学校1モテてる』って言っていたのを思い出した。
“浅桐恵斗”
「…あ、傘、持って来てないんですけど…」
まさか彼がこの学校の生徒だったなんて思いもしてなかったから、傘ももちろん持ってきてない。
「いいよ、それはまた今度で。それより今日、放課後空いてる?」
「え?」
空いてますけど…、と首をかしげると、浅桐先輩は私の耳元で囁いた。
「デート、しよっか」
甘い甘い彼のお誘い。