闇夜に輝く
第15章 営業中のトラブル
海斗はグラスなどシャンパンに必要なものを全てカウンターの端に用意し終えると、そのままキッチンに入り西野さんが作りかけていたチーズ盛りを速攻で作った。
そして営業前に小分けにしておいたフルーツを冷蔵庫から出したところで、増田さんがキッチンに戻ってきた。
「よし、あとは俺がやるから海斗はフロア頼む」
「はい。あと、この辺にやたらと物が散乱してるんですけど」
「ああ、すまん。思わずあいつを蹴り飛ばしちまったからな」
「何があったんですか?」
「あいつ、次の延長確認の時間が迫ってるのにそれを客に確認しないでオーダーとったらしい。しかもそれをインカムで飛ばし忘れたんだとよ」
「でも何で、チーズ盛りから作ってたんでしょうか?普通、シャンパンの準備が先でしょう」
「あいつは忙しくなると動きが滅茶苦茶になるからな。しかもくわえタバコでのんきにチー盛り作ってやがった。作っているうちにインカムが耳から外れてるのにも気づかなかったんだと。それ見たときに俺もキレちまってよ」
「…何か色々ダメダメですねー」
「多分、フードオーダーが入って、『やった、キッチンでタバコが吸える』って思ったら、それしか考えられなくなっちまったんだろうなぁ」
はぁ、とため息をついた後、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
俺も苦笑いをしながらチー盛りを持ってフロアに戻ろうとした。
すると、
ガッシャーン!!バリン!パリン!
と今度はフロアからどデカイ音がした。