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嵐のような営業が終わり閉店作業も済ませた後、ボーイ達は好きな席でぐったりとしていた。
自然とそれぞれ座る席が決まっている。
まずVIP席に増田さんが座り、その隣りに坂東さんが座る。

いつもならそこから少し離れた席に西野さんが座っているが今はいない。

新人ボーイの山田君と秋山さんの二人はフロアの角のＬ字型の席に仲良く座っている。
山田君は必ずその日、疑問に思った事を秋山さんに聞き、メモを取る。

そして、優矢くんと海斗がカウンターのイスでくつろぐと言うのがここ最近の自然な流れになっていた。

海斗はいつものようにネクタイを外し、ワイシャツの第二ボタンまで外してラクな格好になる。
そしてカウンター内の冷蔵庫からお茶のペットボトルを出し、人数分のグラスを用意したところで増田さんがその動きに気が付いた。

「今日は生ビール飲んでいいぞ」

「え？いいんですか？」

「今日は特別な」

「ありがとうござ…」
「あざーっす」

海斗が返事をする前に優矢くんが増田さんにお礼を言っていた。

海斗はグラスに次々と生ビールを注いでいくと、それを新人ボーイの二人が運んでいく。

「ちょっとみんな集まってくれるか？」

増田さんはそう言ってみんなをVIP席に呼び寄せた。