闇夜に輝く
第4章 初めてのフロント業務
海斗は平日のある日、初めてフロント業務をした。
ただ、この日はどしゃ降りの雨が降ってて客足も見込めないから傘を持って突っ立っていただけ。
店内も忙しくなく、この機会に先輩のボーイは客席に付いていない担当キャストとのミーティングに追われていた。
増田店長も早々に今日の売り上げを諦め、まだ担当キャストのいない海斗にフロント業務の白羽の矢を立てた。
闇夜に降りしきる雨は、街全体が悲しんでいるような静けさがあった。
海斗はタバコに火を付け、その静けさをこっそり楽しんでいた。
そんな中、傘もささずにトボトボと歩いてくる女の子がいたんだ。
下を向いていたから顔はわからない。
ただ、足早に通り過ぎる人々の中ではものすごく違和感があった。
泣いているみたいだった。
海斗は無意識にその子に傘を差し出していた。