無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「んー。可愛いわねぇ。これは将来有望ね。でも、メイクがもったいないわー」

そう言って洋子さんがチラッと腕時計を見る。つられて若菜もその時計を見るとそこにはキラキラと輝く高級そうな時計がしてあった。

「まだ、時間があるわね。若菜ちゃん、メイクをちょっとやり直してみない？」
「は、はい」

そうして、洋子さんのレクチャーの元、メイクの講義を受けつつ手直しをされていく。
世間話や学校のこと、兄のことなどを聞かれながら、30分ほどでメイクが完成しかわいい美少女が誕生した。

「よし、バッチリ！じゃぁ行こうか」
「はい！」

荷物を持ってアパートの前に出ると、一台のスポーツカーが停まっていた。
そして何故かエンジンがかかりっ放しだった。
洋子さんに促されてその車の助手席に乗り込むと、かわいいシェルティーと言う犬種の子犬のワンちゃんがお出迎えしてくれた。
車内は適温に保たれていたので、エンジンがかかりっぱなしだった意味を理解する。
そして若菜はその子を抱いたまま海へと出発した。
その間も終始洋子さんのペースに巻き込まれて会話が続いていく。
段々と昔からの知り合いだったかのような錯覚に陥る。
隣を見ると、ボサノバが流れる車内でサングラスをかけてスポーツカーを運転する洋子さん。
その姿がハリウッド女優かと思えるくらいカッコ良かった。
髪をかき上げる、ガムのタブレットを口に含むなど何気ない動作の一つ一つが、まるで映画のワンシーンを切り取ったかの様だった。