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闇夜に輝く

第21章 大バーベキュー大会

海斗達が海辺に到着すると、ビーチパラソルと簡易テーブルで作った専用サイトが海に向かって大きなU字型になるように配置されていた。
それに沿って沢山のキャンプチェアと、U字の内側部分に全部で6個のバーベキューセットが並んでいる。
そこに各店舗の持ち場があり、同じ繁華街の店同士が隣り合うように並ぶ。
ニューアクトレスはU字型の左の先部分が持ち場で隣がレッドローズだった。

増田さんとレッドローズ出身の部長は反目し合っているが、現場の人間同士ではそんなことはない。
何故なら増田さんの先輩でもあるレッドローズの店長は洋子さんにベタ惚れらしく、部長に遠慮しつつも、増田さん達と仲良くしておきたいらしい。
ただ、洋子さんはその店長をパシリのように扱っていて会社での立場と普段の立場があべこべ。

その関係を海斗が疑問に思い、坂東さんに聞く。

「洋子さんってなんであんなに顔が広いんですか?さっき執行部の人達とも仲よさげに話してましたけど?」

「あれ?言ってなかったっけ?その昔、洋子さんはクラブグレイスフルで不動のナンバーワンとして長年君臨していたんだよ」

「ええ!?あー、でも納得です」

海斗はさらりと出た衝撃の事実に驚きつつも、これまでの洋子さんの振る舞いを思い出してすぐさま納得した。
洋子さんはバックヤードでさりげなくキャストのフォローやアドバイスをしていたり、ボーイが注意しにくいデリケートなことを代わりに言ってくれたりと、キャストもボーイも何だかんだ頼りにしている部分がある。

海斗でさえ、誰にも言っていなかった妹との悩みを自然と相談できてしまっていた。

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