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闇夜に輝く

第24章 不満爆発

フロアへ戻ると増田さんが声をかけてきた。

「すまんな。杏奈は大丈夫か?」

「はい。落ち着いたらすぐ戻ると思います」

「そうか、それにしても海斗もキャストのフォローが板に付いてきたな」

「いえ、あのまま杏奈さんに抜けられると困ると思ったので」

「その判断も含めて成長したな。まだまだその辺は俺が動かなきゃいけないかと思っていたが任せても大丈夫そうだ。海斗も頼もしくなってきたな」

「ありがとうございます。ホールがヤバそうなんで戻ります」

「おう、よろしく!」

案の定、ホールが回っていなかった。

海斗の代わりに指示する立場であるはずの西野さんがボーッとしている。
秋山さんがイライラしながら交換物を運び、山田君がリクエストコールを受けている。

海斗はすぐさま指示を出す。
西野さんにグラス洗い、秋山さんに空いてる席の片付け、山田君に交換物とオーダー運びに役割を変える。

そして、海斗がリクエストコール対応とエスコート、延長確認、会計、立ち上げ、抜き物対応の全開モードにシフトチェンジ。

なぜなら、秋山さんが同じ作業ばかりで気持ちが切れそうになってきていたからだ。

「秋山さん、その片付けが終わったら休憩入って下さい。入れ替わりで山田君にも入ってもらって」

「ありがとうございます」

「今月最後の週末だからもう一度、必ず波が来ます。その前にしっかり充電しといてね」

そして秋山さん、山田君、西野さん、海斗の順で休憩を回し、0時以降に備える。
結局海斗の休憩は5分もしないうちに店内がまた混みだした。
慌てて業務に戻り、そのままラストまで休憩を取るような時間はなかった。

杏奈さんも復活し、問題の席には付かないよう坂東さんが配慮して付け回すとその客は1時間で帰っていった。

沈んだ表情で仕事をしていた杏奈さんだったが、その後指名客が2組来店した。
どちらも派手にお金を使って飲んでくれた為、最後は杏奈さんもいつもの明るい表情に戻っていった。

しかし、営業終了後にまた一波乱起こることは既に予想はできていた。

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