『闇夜に輝く』第25章「爆弾処理マスター」　217ページ

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闇夜に輝く

第25章爆弾処理マスター

海斗は不安だった事を聞く。

「あの、杏奈さんを本当に辞めさせるつもりもないんですよね？」

「ああ、厳しい事は言ったけど、飴と鞭の駆け引きが必要だっただけだ。どうしても杏奈のようなナンバークラスはチヤホヤされて勘違いしやすいからな。杏奈もしっかり反省してくれただろ？あいつは基本的にはイイ子だからな。辞めるなんてことにはならないから安心しろ」

「はい。じゃぁ怒鳴ったのも計算で？」

「そう。演技だよ。え・ん・ぎ」

「…普段、西野さんに対して怒鳴るのも、ですか？」

「あー、半分はな。もう半分はストレス発散も兼ねてるなぁ、うん」

全く悪びれる様子もなく楽しそうに笑う増田さん。
これも本心から笑っているのか分からなくなった。

海斗は目の前の夜の住人のお手本を見ながら、前に言われた事を思い出す。

『喜怒哀楽が演じられれば一人前』

その言葉の意味をようやく理解し始めていた。