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闇夜に輝く

第25章 爆弾処理マスター

増田さんがお茶を飲みながら、肩を落としている海斗を見る。

「フッ、珍しく弱気だなぁ。何も新しいキャストを連れてくるだけが全てではない。代わりとなるキャストを海斗が育てる覚悟さえあれば、スカウトが不得意でも関係ねぇじゃねーか。お前の弱気の本質はそこじゃない。辞められたらどうしようとか、嫌われたらどうしようとかいうくだらない理由で普段からキャストに言えない事もあるんじゃないか?いいか、常に信念を持って接していれば、たまに厳しい事を言ってもきちんと伝わるもんなんだよ」

「…覚悟と信念、ですか」

「ああ、じゃないとキャストと対等で居られなくなる。俺らはキャストに稼がせてもらってると思いがちだが実際はそうでもない。店を守って稼がせてるのも俺たちだ。そういう意味でも対等だ。だって女が街の中で一人で商売をしてみろよ。身体を売らずに飲みに行くだけで安全に稼げると思うか?そのまま帰れる保証がどれだけある?こういう店があってバックに黒服がいるから、客は酔っ払ってても大人しく飲んで帰るんだろ?キャストがそういうことを忘れたり、勘違いして黒服に敬意を払えないんなら辞めてもらって結構だよ」

この人はブレない。迷いがない。だからキャストも黒服も言う事を聞き、ついてくる。
また、それだけ数々のキャストや黒服を見てきたという証なのだろう。

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