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闇夜に輝く

第29章 結衣菜の秘密

海斗が住んでいる最寄り駅には二つの出口がある。
海斗の帰り道とは反対側の出口から徒歩10分くらいの場所に、偏差値は低いが制服は可愛いと評判の高校がある。

そして結衣菜さんはその学校の制服を着ていた。

店にいる時よりは若干ナチュラルなメイクで印象は違ったが、さすがに担当キャストに気付かない海斗ではなかった。

お互いが数秒間見つめ合ったあと、結衣菜さんが視線を外し、気まずい表情で通り過ぎようとする。
思わず海斗が声をかける。

「結衣菜さん?」

一瞬ビクっとしてから、足早に通り過ぎるその女子高生。

……確実に結衣菜さんだった。

けれど、海斗はその衝撃と酒酔いが合わさり、混乱していた。
コスプレ?結衣菜さんの妹?もしかして双子?
いやいやいや、他人の空似だったらお互い見つめ合ってびっくりなんかしないだろう。

海斗が脳内会議をしている間も、どんどん遠ざかる結衣菜さん。

海斗はハッと我に帰り、慌てて追いかけ、そして追いついた。

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