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闇夜に輝く

第29章 結衣菜の秘密

しかし増田さんは急に優しい顔に戻り、結衣菜さんの隣に移動する。
そこからは真剣に諭すように結衣菜さんに言い聞かす。

「それから、これは今月の結衣菜の給料と、ちゃんと約束を守ってもらう為のお金の90万な」

そう言って封筒から現金を出す。

「え?何でですか?だって先月25万くらいしか稼いでないのに…」

「うん、こっちも結衣菜の為にリスクを背負うよ。これまで稼いでたのに急にそのお金が無くなったら困るだろ。ただし一旦全額を海斗が預かる。これから高校を卒業するまでの半年間、月に一回15万ずつ海斗から結衣菜に渡すようにする。だから定期的に海斗と連絡を取り合うんだぞ。真面目に生活してる事を海斗に報告しないと、このお金も入ってこないからな。普通にバイトした金額にこの金額を足せば、今までもらっていた給料とそんなに変わらないだろう。高校生活だって残り半年だけだろ。高校生が普通にするバイトもちゃんと経験しなさい。コソコソしないでちゃんと生きること、それを頑張りなさい。いいね、無事卒業したら待ってるからな、忘れるんじゃないぞ」

くしゃくしゃと頭を撫でる。結衣菜さんはそのまま増田さんの胸に顔を埋める。

「ぅわ〜ん、ごめんなしゃい」

「ホント、困らせないでくれよ。まぁ、毎月海斗からいい報告が聞けるのを楽しみにしてるからな」

二度三度ぽんぼんと頭を軽くたたき、一度しっかり抱きしめる増田さん。

「じゃあ、俺はこの後、事務所に寄って済ませなきゃならないことあるから行くわ。海斗、開店時間までに店に来ればいいからそれまで結衣菜に付き合ってやれ」

「はい。わかりました」

そうして増田さんは行ってしまった。

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