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闇夜に輝く

第29章 結衣菜の秘密

理解が追いつかない結衣菜さんに、もう一度増田さんが説明する。

「要はニューアクトレスには高校生の少女なんか在籍していなかったって事実が必要なんだ。じゃないとどうなるかわかるよな?だから結衣菜もこの事を誰にも言わないって約束出来るか?」

「私、誰にも言いません!みんなに迷惑かけるって海斗さんから聞きました。店長が捕まっちゃうなんて思ってませんでした。ゴメンなさい」

ハハっと、増田さんが少し困った顔をしてから、また、表情を引き締めて言う。

「じゃあ俺も結衣菜に腹を割ってはなすよ。俺は捕まることなんて別にどって事ない。この仕事をしてれば留置所くらいは覚悟してるよ。だけど、店が営業停止になるとみんな困る。キャストの給料や、ここにいる海斗にも給料が払えなくなる」

そして増田さんはどんどん冷たい眼差しと口調になる。

「そうなれば、店への損害は数百万単位になるなぁ」

「そ、そんなに…」

増田さんのオーラでその場の空気が明らかに冷えていく感覚があった。
結衣菜さんは小刻みに震えている。

増田さんは冷たく厳しい目で淡々と話し続ける。


「ああ。そうなると身分を偽って入店した結衣菜には、不本意だが制裁をしなければならない。この意味は何となくわかるよな。だからこそ誰にも言うなよ。それから高校に通っている間は絶対にキャバクラやそれ以外のいかがわしい店で働くな。もし警察に知れて結衣菜が捕まったら、物凄い尋問をされる。その時に過去にどんな店で働いていたかもしつこく聞かれる。それでうちの店の事が発覚する場合もある。だから今後は高校を卒業するまでは絶対に警察に目を付けられるようなことはするな。わかったか?」

「は、はい」

海斗でさえ普段聞かない、増田さんの低く恐ろしい口調と声色に完全にビビってしまう結衣菜さん。

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