闇夜に輝く
第29章 結衣菜の秘密
そして増田さんはショットグラスを海斗の前に置く。
「じゃ、これ飲め」
「これって、テキーラですよね」
「まぁ、古臭いが盃の真似事だ」
「えー?さっきウチらはヤクザじゃないって言ってたじゃないっすか」
「ははっ、盃は冗談だよ。ただ、気合を入れたくなってさ」
「はい、わかりました。ただ、営業前ですけど、俺が酒を飲んでもいいんですか?」
「マジメか!まぁ、海斗らしいな。問題ない。今日から正式に副主任だ。営業中もベスト姿ではなく、スーツの上着を着て仕事をしてもらう。場合によっては客席で飲んでもらうこともあるからな。またトレンチも今日から常に持たずに、必要な時だけでいいぞ」
「分かりました。いただきます」
チン!とグラスを合わせた後、一気に煽る。
喉を駆け抜ける痛みと共に胃が熱くなる。
二人同時にグラスをガン!とテーブルに置いた。
そしてこの瞬間、海斗は昇進した。
それはつまり海斗がまた一歩、濃い夜の闇に足元を絡められたということなのだが、それに気が付いてはいなかった。
「じゃ、これ飲め」
「これって、テキーラですよね」
「まぁ、古臭いが盃の真似事だ」
「えー?さっきウチらはヤクザじゃないって言ってたじゃないっすか」
「ははっ、盃は冗談だよ。ただ、気合を入れたくなってさ」
「はい、わかりました。ただ、営業前ですけど、俺が酒を飲んでもいいんですか?」
「マジメか!まぁ、海斗らしいな。問題ない。今日から正式に副主任だ。営業中もベスト姿ではなく、スーツの上着を着て仕事をしてもらう。場合によっては客席で飲んでもらうこともあるからな。またトレンチも今日から常に持たずに、必要な時だけでいいぞ」
「分かりました。いただきます」
チン!とグラスを合わせた後、一気に煽る。
喉を駆け抜ける痛みと共に胃が熱くなる。
二人同時にグラスをガン!とテーブルに置いた。
そしてこの瞬間、海斗は昇進した。
それはつまり海斗がまた一歩、濃い夜の闇に足元を絡められたということなのだが、それに気が付いてはいなかった。