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闇夜に輝く

第2章 週末の夜



『おい!5番テーブルの客にもう5分以上キャストがついてないぞ!誰か水割りを注ぎにいけ!』

ひたすらグラスを洗う作業中、耳元のインカムから増田店長の怒号が飛ぶ。

海斗は水を止め、カウンターからフロアへ出る。

その瞬間、R&Bの音楽と共に、女の甲高い笑い声や男の卑下た笑いが一段と大きくなる。
そして香水と化粧品と酒臭さが混ざり合った、独特の空気が鼻につく。

ここは都内の繁華街に何千とあるキャバクラの一つ。
ランクとしては普通より少し上ぐらい。
平日でもそこそこ客が入り、世の中が不況でもここは儲かっていると思われる。

そして週末ともなるとまるで戦争のような店内となる。

時間制のキャバクラは1分、1秒を争う単位で動いている。


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