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闇夜に輝く

第33章 クリスマスパーティー

「あははー。ただいまー!!」

杏奈さんが爆笑しながらアフターから戻ってきた。なぜか一緒に咲さんも連れている。
そしてカウンターの近くの空いている丸イスに座った。
海斗は振り返り、二人を労う。

「おかえり。早かったね。ところで何で咲さんと一緒なの?」

「あんなー、杏奈が咲ちゃんを強引に誘ってん」

杏奈さんが咲さんの腕に抱きつきながらそう言うと、咲さんは恐縮しながら答える。

「いえ、アフター行ってた場所がたまたま一緒だったんです。松原さんがしつこくて困ってたんですが、見兼ねた杏奈さんがトイレで作戦会議をしてくれたんです。そしたら杏奈さんが泥酔した振りをしながら私達の席に乱入して一緒に飲んでくれて。お陰で無事、松原さんをタクシーで帰すことに成功しました」

「そうだったんだ。杏奈さんの方のお客さんはどうしたの?」

「爆睡してたから放置やで。杏奈からのクリスマスプレゼントと置き手紙だけ置いてきた」

「あはは、杏奈さんは相変わらずお客さんをかわすのがうまいね」

「せやろ。今日はまともに相手にしたらヤバいわ。クリスマスやし、確実に食われてまうやん」

悪戯っぽく笑いながらピースしている杏奈さん。
これが若くても経験豊富な杏奈さんのアフターテクニック。
ちゃんとアフターに付き合った事実を残しつつ、プレゼントを置いてくる事で、客が目を覚ました時に嬉しいサプライズを演出。
そうすることで、あえて客を起こさないようにした理由の口実を作る。
んでさっさと退散。さすが手慣れている。

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