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闇夜に輝く

第37章 裏引き


海斗と増田店長は隣同士並んで立ち、目を合わせず、ずっとフロアを見つめたまま会話をする。

これはなるべく客からヒソヒソ話をしていると思われないための配慮である。
また、すぐにリクエストコールに対応する為でもある。
例え上司との会話中であっても営業が最優先。
逆に黒服同士で会話に夢中になりフロアを見ていなかったりした場合は増田さんは物凄くキレる。

二人でフロアを見ながら増田さんは会話を続ける。

「それよりよ、最近、つかさの裏引きが目に余るな。本指名で帰ってこないのもその辺が関係してると思うぞ。今のつかさの顧客は把握してるか?」

「はい。だけど、あまり話してはくれないんですよね。場内が入った客の事を聞いても、その後連絡が取れないとか、客と切れてしまったとかの報告が多いんでそれ以上話し合いにならないんですよ。それになんで増田さんは裏引きを確信できるんですか?」

「ちょっとよく見ればわかるだろ。あいつの私服や持ち物。それからネイルを変える頻度、旅行に行ってきた話やお土産を更衣室に置いている頻度。あいつはそんなに出勤してないし、売り上げもそこそこだから稼いでない。さらに話を聞く限りあいつの彼氏はホストっぽいし出費も多いはずだ。じゃあそんな金がどこから出てくるのか。違うところで働いてるか裏引きしてるかだろ」

「あ、確かに。はぁ、もっとコミュニケーションをとらないとダメですよね」

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