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闇夜に輝く

第39章 付け回し



キャッシャー近くの客席から見えないところで増田店長と海斗が待ち構える。

電話のジェスチャーは店側が接客中のキャストに対して何か話があるときに使う手段。
慣れてないキャストは誰から電話があったのかと怪訝な顔をしながら来るが、経験豊富な美香さんは小走りでまっすぐ海斗と増田さんの所に来た。

増田さんがにこやかに話しかける。

「美香ぁ、やったなぁ。この場内はでかいんじゃないか?ノーコールだってよ」

「ホントびっくりだわ。なんか有名なおもちゃ会社の専務さんらしいわよ」

「そっかぁ。海斗に感謝だなぁ。ところで、あのお客さん新規だからあんまり高くならないようにな。一人1時間1万くらいで抑えてやってな。端数分は店でサービスするから。それからあのお客さんがラストまで残るようなら美香もラストまでいてくれな」

「わかってるわ。海斗くん、ちゃんとがんばったわよ」

めちゃくちゃ得意げな顔をする美香さん。

「いやー、やっぱり美香さんは頼りになりますね。でも俺は美香さんだったら場内入ると思ってましたから。終わったらアイス買ってあげます」

「やったぁ。ハーゲンダッツね。約束よ」

「はいはい。あ、家に連絡しなくて大丈夫?」

「んーと、上がりの予定時間を過ぎるようならもう一回電話で抜いて」

「わかりました。トイレに行くときに連絡してもいいですからね。じゃ、引き続きがんばって」

「はーい」

そういって美香さんはまた小走りで客席に戻っていった。


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