闇夜に輝く
第40章 後始末
営業終了後の店内。
海斗が閉店作業をしていると、坂東さんにVIP席へ来るように呼ばれた。
そこでは増田店長がお茶を飲みながら今日の売上伝票を整理している。
海斗が正面の丸イスに座ると増田さんがチラリと顔を上げるが、伝票整理にまた目を落とす。
すると、増田さんの隣に座った坂東さんが海斗へ話しかける。
「今日は急遽付け回しを代わってもらってすまなかったな」
「いえ、俺の方こそ店前でのトラブルを助けてもらってありがとうございます」
海斗が頭を下げると、坂東さんは気まずそうな顔をする。
「あー、その、ちょっと俺、みっともない姿だったな。アレは忘れてくれ」
「みっともないって、めちゃめちゃ迫力ありましたよ。普段優しいからギャップにびっくりしました」
「いや、本当はあんまりそういう風に思われたくないんだけどね。でもあいつとは昔色々とあってなー。俺はそういう世界から足を洗おうと決めたんだけど、まだまだ修行が足りないなぁ。びっくりさせてゴメン」
そう言って今度は坂東さんが頭を下げる。
「いえ、坂東さんがあのタイミングで来てくれていなかったら俺がボコられてたと思うんで、そんなに謝らないでください」
海斗はそう言うが坂東さんは中々頭を上げなかった。