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闇夜に輝く

第40章 後始末



見かねた増田さんが伝票整理の手を止めて、間に入る。

「この業界はさ、あんまり探られたくない過去を持つ奴もいるんだ。坂東も昔は色々あったし、こいつ自身後悔することも沢山あった。でもだいぶ変わったよ。今は客やキャストに対して昔の雰囲気を出すことはないのも知ってる。だから海斗もそういう目で見ないでやって欲しいんだ」

「はい。昔はヤンチャだったんだろうなって何となく分かってました。だけどヤンチャの度合いが俺の知っている不良とはレベルが違うなと今日感じました。でも、それ故に頼もしくも思います。坂東さんは俺がこの店に入店してからずっと優しかったし力になってくれてましたよね。今日だって守ってくれました。俺にとっては今も昔もいい上司な事には変わりないです。そんな事より、ツカサさんが心配なんですよね。全然連絡取れないんです。きっとツカサさんも状況がわからないままで不安だと思うんです」

海斗は自分の携帯を取り出し、着信履歴を確認するが、やはりツカサさんからの連絡は入っていなかった。

そんな海斗を見た増田さんが思わず吹き出す。

「海斗は本当に仕事人間だな。坂東の本性を知って涼しい顔でキャストの心配してる奴なんてあんまりいないんだけどな」

その言葉に頭を下げ続けていた坂東さんもポカンとした顔で頭を上げる。

増田さんと顔を見合わせた後、呟く。

「この反応って、…優矢以来ですね」

「ぷっ。やっぱ、海斗と優矢って似てるんだなぁ」

増田さんはそう言ってまた笑った。



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