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闇夜に輝く

第8章 初出勤

客席には新たに2組、指名客が来店していた。基本的に20時から21時半までは指名客や同伴客が大半を占める。
この時間帯に客が入っているかいないかで、その店のレベルが決まる。
海斗が一旦ホール業務に戻ろうとしたら、増田店長に呼び止められた。

「海斗、咲が出てきたら、接客の流れと店のルール教えてあげてな。それから酒の作り方や、ライターの付け方、トイレへのエスコートとか基本的な事もな」

「わかりました。咲さん、ドレスを着たら全然違いました。それから増田さんが良く使ってる手段も勝手に使わせてもらいました」

「ん?何を使ったの?」

「キャストが新しいドレスを買ったり、髪型を変えたり、髪の色を変えたりしたのを増田さんに見せに来た際、増田さんはすぐに褒めずに、『回ってごらん』って言って、少し感心した様に褒めるじゃないですか」

「あー、あれね。で、どうだった?」

「いや、自信なさそうだったのが治りました。何でですかね?」

「そりゃー、女はみんな女優だから。適当に褒めるんじゃなくて、じっくり見てあげる。ちゃんと見てもらえた上で褒められてるって感じると、自信が持てる。そうすると歩き方や姿勢も変わるんだよ」

「はぇ〜、褒め方って大事なんですね」

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