闇夜に輝く
第42章 お好み焼き
その後も和気あいあいと食事をしている最中、若菜がトイレに行った。
そのタイミングで海斗は結衣菜さんに封筒を渡す。
毎月15万円を渡すのも来月まで。結衣菜さんはちゃんと約束を守り、店を辞めてから今まで怪しいバイトもせず、夜遊びで補導される事も無かった。
結衣菜さんは封筒を大事そうにバッグにしまうと、珍しく神妙な顔つきをする。
海斗は気になり聞く。
「どうした?」
「うん、結衣菜ね、ここのバイトめっちゃ頑張ってるんだけど、毎月海斗さんからもらうお金より全然少ないの。キャバとかでしか働いた事なかったから最初は給料の少なさに凄い不満だったんだけど、今はキャバとかの方が異常に高いんだってわかったの。だってバイトのみんなはこの給料が普通なんだもん。それでも楽しそうだし」
「そっかぁ。いつも言ってるけど、そのお金は俺があげてるんじゃなくて、増田さんからだからね。今は増田さんと連絡を取るのはダメだけど、高校卒業したらちゃんとお礼を言うんだよ。それに、増田さんは結衣菜さんのこれからの事を考えてる。働くという事、お金の価値観、同世代の子とキャバ嬢と何が違うのか、それをしっかりと認識してほしいんだと思う。その想いに結衣菜さんがこの5ヶ月間応えてきたから、今の結衣菜さんがいると思うんだ。増田さんに感謝だね」
「結衣菜は増田さんに早く会いたいなぁ。いっぱい怒らせて困らせちゃったから、高校卒業したら恩返しするんだぁ」
「結衣菜さん、いい女になったなぁ」
「うにゅう〜。変な女ですぅ〜」
結衣菜さんは真面目に褒めるとすぐ変顔をして照れる。