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闇夜に輝く

第42章 お好み焼き



海斗は知っている。結衣菜さんが高校生にも関わらず、ニューアクトレスで働いていた事が発覚したら増田さんがどうなっていたか。
増田さん自身の損失は軽く100万を超える。店舗責任者として逮捕されるのは間違いない。
更に保釈金に加えて、会社からは管理手当の天引き、罰金。営業停止による損害。

それは結衣菜さんが高校卒業するまでは気が抜けない。
なぜなら、お金欲しさに違法なバイトをして、もしも捕まってしまった場合。
今までどんな事をしてきたか警察に物凄い尋問をされる。
そうなった時、18歳の娘がニューアクトレスで働いていた過去について口を滑らせない保証はない。

増田さんが結衣菜さんと直接連絡をしてお金を渡さないのも増田さんが店舗責任者だから。
海斗と増田さんでは意味合いが違ってくる。

だけどそれは結衣菜さんには言えない。

飽くまでも恩を売ること。

増田さんは結衣菜さんに無償で渡す90万以上の物を確実に回収しようと思っている。

それは結衣菜さんがキャストとしてワンランク上のレベルになる事と、また戻った時にちょっとやそっとじゃ店を辞めれない心情を植え付ける事。

なので海斗は常日頃から増田さんに、結衣菜さんの近況を詳しく報告もしている。


海斗はそんな事を考えながら片手で頬杖をつきながら、隣に座る結衣菜さんを見ていた。

結衣菜さんは焼けたホタテを箸でつかみ、

「これ、じゃがいも?あっ、ホタテか」

と訳のわからない勘違いをしながら無邪気に食べていた。




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