闇夜に輝く
第42章 お好み焼き
お金の価値観が変わってしまうのはキャバ嬢だけではない。ボーイや黒服も同じだった。
だけど、華やかさを知らない人に華やかさを演出出来る訳が無いと増田さんに言われた事もあった。
そして華やかさの周りに人が寄ってくるとも。
「結衣菜さんの方がセンスいいじゃん」
海斗も褒めると、隣で若菜がコクコクと頷く。それを見た結衣菜さんは
「結衣菜はもうギャル卒業します。だって若菜ちゃんはなま脚ですもん。よっ!ギャルの鑑!」
そう言って若菜に勢いよく抱きつく結衣菜さん。本当にこの子は歩いてても落ち着きがない。
駅前のタクシー乗り場で結衣菜さんを見送り、若菜と帰路に着く。
結衣菜さんが居ないと何だか少し気温が下がった様に感じる。
「お兄ちゃん、結衣菜さんってすっごい元気だよねー。楽しいし、明るいし、嫌味がないし、こっちまで元気になる」
ウキウキした表情でそう話す若菜を見ながら考える。
結衣菜さんみたいな子が一番輝けて評価されるのはやっぱり夜の世界なのかもしれない。闇が深い世界であればあるほど、輝きは増す。
その世界でしか生きられないと同時に、その世界だからこそ生き生きと輝ける。そんな人も確かに存在する。
海斗は改めてそう感じていた。