闇夜に輝く
第43章 激震
「美香さんは今後の事とか考えてたりするの?」
「んー、そうねぇ、増田さんに何か言われたら辞めようと思ってる。この店の開店当初からずっと一緒にやってきたけど、特別目をかけられた事はなかったわ。だから続けられたんだけど。私ね…」
そう言って、遠くを見つめる。
その視線の先に誰がいるのか想像がついた。海斗はじっと美香さんを見つめ、美香さんから話し始めるのを待つ。
そんな海斗の姿を見た美香さんが諦めたようにまた話し始める。
「海斗くんには参っちゃうなぁ。そんな真剣な眼差しされると、誤魔化せないわねぇ。私ね、増田さんが前の店の店長時代からの付き合いなの。この店がオープンする時に増田さんを追いかけるようにして移籍したわ。でも私は増田さんの担当には一度もなれなかった。増田さんに目をかけられた子はみんなすごい成績を残した。だけど、今は誰一人残ってない。きっと理子さんもいずれ増田さんの元から離れるわ。何でか分かる?」
これではどっちがミーティングをされているのかわからない。
だが、キャリア8年以上の美香さんと1年ちょっとの海斗では当然なのかもしれない。海斗は素直になるしかなかった。
「何でですかね?」
その言葉に美香さんが柔らかく笑う。
「海斗くんは素敵ね。普通はキャストに舐められたくなくて最もらしいことを何かしら言ってくるのに、そうやってキャストにゆだねちゃうんだもの、不思議な人。そうねぇヒントは『元ナンバー1』って言葉」
その言葉に海斗はピンときた。