闇夜に輝く
第43章 激震
ナンバーワンキャストは他のキャストとは待遇が違う。
店側も意図的に特別待遇をする。
まず、ヘアメイクは順番待ちをしなくても出勤してすぐにはいれたり、送りの車はルートに関係なくナンバーワンが最優先となる。
増田さんが日常的にミーティングを行うのもナンバーワンのみ。
そうやってナンバーワンとしてのプライドと自覚を徐々に植え付ける。
そして一度手に入れたその地位を必死で守ろうとさせる。
キャスト間の成績が僅差であればナンバーワンを目指した競争意識も高まる。
しかし、この業界の流れは早い。次々と新キャストが入ってくる。
その中で理子さんのような飛び抜けた才能を持ったキャストも現れる。
けれど、そういった不動のナンバーワンキャストが現れてしまうとどうなるか。
元ナンバーワンは今まで受けていた特別待遇をそのキャストに奪われ、返り咲くことも難しい。
さらにその特別待遇を横目に見続ける事となる。
そしていずれ店を離れていく。
それは理子さんとて例外ではない。
いつかは新たなキャストにその座を奪われる日がくる。