闇夜に輝く
第43章 激震
海斗の違和感はそこだった。
無理して若くあろうとする必要があるのだろうか。
海斗には営業中の美香さんより目の前にいる美香さんの方がより魅力的に映っていた。
「もっと得意分野で勝負しませんか?」
「それって、どういうこと?」
「美香さんってキャリアが長い分、キャバ嬢を演じちゃうんですよ。派手でセレブで浮世離れな人を。キャバ嬢はこうあるべきなんだって」
「だってそれが仕事でしょ?」
「でも、美香さんの本指名のお客さんにはそんな接客はしてないじゃないですか」
「まぁ、確かにねぇ。でもそれは付き合いが長いから」
「んー。じゃぁ美香さんの特技って何かあります?」
「特技?んーと、お裁縫かな。子供の物とかよく作るし、料理も毎日作るけど。あとは着物の着付けとか」
その言葉に海斗は閃いた。
「それだ!着物を着ましょう!」
「えー?もっとおばさんになっちゃうじゃん。やだ!絶対浮くし」
「毎日じゃなくていいんですよ。美香さんだったら絶対似合うし、おばさんにも見えませんって」
「私だけ着たらママみたいだし、そんな成績じゃないし」
「わかりました。着付けが出来るんなら美香さんだけでなく、他のキャストにもしてあげてください。もちろん着付けの金額は出しますから!」
結局、海斗の熱意に渋々了承した美香さん。