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闇夜に輝く

第44章 幕間 想い



寒風が身に染みる2月の終わり。

それとは無縁の室内で、白いゴルフボールが勢いよく飛んでいった刹那、その先のネットに吸い込まれる。

「やっぱり理子はダメか?」

「何度も話し合ったんですけどね。夏頃には内定を決めていたようです」

「そうか……」

夕方のゴルフ練習場。
ゴルフウェアに身を包んだ社長がドライバーを熱心に振る。
50代とは思えない引き締まった身体とゴルフ焼けした顔。

その様子を後ろのベンチから眺めるスーツ姿の増田。

ここは都内の一等地ビルの屋上。
そこには会員制のゴルフ練習場がある。
わすが40ヤードしかないのにも関わらず、料金は馬鹿高い。
芝のマットは最高級の人工芝を使い、各席は半個室となっている。
さらに打席にはスイングカメラも設置してある。

社長は自分のスイングをモニターで確認しながら話を続ける。

「やはりグレイスフルに移籍させた方が良かったんじゃないか?」

チラリと増田の方を一瞥した後、またモニターを見る。

「私も移籍を勧めましたが、理子は全く行きたがりませんでした。きっと移籍してしまってはこの世界から戻れなくなることがわかっていたんだと思います」

「おいおい、お前の仕事はいい女をこの世界に留めることじゃないのか?」

「はい。力不足です。申し訳ありません」

増田は立ち上がると、深々と頭を下げる。




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