闇夜に輝く
第46章 黒服と担当キャスト
それはもちろん坂東さんにも当てはまる。
だから、坂東さんよりも海斗の方が給与が高い事を申し訳なく思った。
何故なら、常に付け回しのほとんどを坂東さんが行っていた。
坂東さんが私情を挟まずに役割を全うしてくれたからこそ、海斗の担当キャストの成績が伸びた。
坂東さんが誰の担当であろうと分け隔てなく、客とキャストの相性だけを考えて付け回しを行ってくれたからだ。
担当キャストの成績が自分の評価にも繋がることが分かってるのに、坂東さんは店の利益を最優先にしていた。
その心構えと器の大きさに海斗は感謝していたし上司として尊敬している。
海斗はその想いを増田さんに伝えた。
「なので、他の店舗の人の給与は気にしませんが、坂東さんよりも高い給与はもらえません」
海斗がそうキッパリと言い切ると、増田さんも満足そうに頷く。
「お前の良いところだな。自分の手柄をアピールする気が全く感じられない。キャストに対してもそうなんだろうなぁ。お前は決して自分のおかげで稼げるようになったとは思わないんだろう。海斗は独りよがりな仕事をしないからな」
「自分の出来ることは脇役でしかないんです。最近、過大評価されてるようですが」
「ははっ、事前に海斗と話して正解だった。俺の腹も決まった。ボーイ全員に重大な報告があるから、みんなを呼んできてくれるか?」
「わかりました」
海斗は増田さんの言葉に若干の緊張感を抱きつつ、VIP席を立ち、みんなを呼びに行った。