闇夜に輝く
第47章 新体制
VIP席にボーイ全員が集まる。
テーブルの上にはいつの間にか封筒が並べられていた。
集められたボーイ達は何が始まるのか怪訝な顔をしている。
そんなボーイ達をよそに増田さんが厳しい顔つきで話し始めた。
「みんな先月は良くやってくれた。おかげで過去最高の月間売上を記録した。大入りボーナスはそれぞれ規定の金額が給与に加算される。それとは別に社長から俺個人に対して報奨金100万円が出た。でもこれを役職に応じて皆で分けようと思う。まず、山田、秋山、はそれぞれ5万ずつ。西野は10万。海斗は15万。坂東は25万。残りの40万を俺と優矢と洋子で分ける。元々社長が俺に個人的に渡してきた金だ。それぞれ思うところがあるだろうが勝手に決めさせてもらった」
そう言って、一人一人に封筒を手渡す。
大はしゃぎはしないが、微妙に皆のテンションが上がっているのがわかった。
増田さんは労いの言葉をかけながら皆に配り終わると話を続ける。
「それからここ最近の売上が評価されて、それぞれ昇進人事が決まった。まず、坂東はマネージャーへ昇格して…」
「ちょっと待ってください。それは受けられません」
坂東さんが昇格を即座に断った。
それまでの浮かれた空気も一瞬で消える。
皆の視線が坂東さんへ向けられる中、増田さんは驚くこともなく坂東さんに聞く。
「どうした?理由は?」
「先月、私の担当キャストは不甲斐ない成績でした。そしてそれは先月に限ったことではありません。俺は海斗の実力を認めています。海斗はいい奴です。俺が上にいても文句は言わない、そんな奴です。でも俺自身が納得できないんです。今の俺にはこれ以上の役職は荷が重すぎます」
そう言ってうなだれる坂東さん。
海斗は坂東さんがそんな風に思っていた事に驚いた。