闇夜に輝く
第47章 新体制
ひと段落するとまた増田さんが話し出す。
「次に海斗は主任に昇格。西野は副主任に再昇格。ホール長は……」
次々に昇格が告げられる。
海斗は一つ大きく深呼吸をし、西野さんは小さくガッツポーズ。
そして新しいホール長の発表の前に秋山さんと山田君が姿勢を伸ばし、緊張した表情を浮かべる。
「ホール長は山田だ」
増田さんは山田君をホール長に抜擢した。
驚く山田君の横で、呆然とする秋山さん。
海斗にとっても意外だった。
秋山さんは入った当初はチャラさや粗さが目立ったが、ここ最近は言葉遣いや接客態度がスマートになった。
元々、秋山さんは会話のスキルが高い。お客さんとのやり取りもノリ良く返すのが上手いし、ちょっとした一言でキャストのテンションを上げる事にも長けている。
そして、キャリアが長いのでトラブルへの対応力も意外に高い。
山田君はそれとは対照的に、仕事面では実直で確実。営業中の動きにミスも少ない。反面、キャリアが浅く、元々人付き合いが苦手な性格の為か客やキャストの要求に臨機応変に対応する事に若干欠ける。
それぞれに良い面と悪い面があるが、海斗は総合的に見て、現状では秋山さんの方が上に感じていた。