闇夜に輝く
第49章 衝突
そんなある日、遅刻ギリギリで出勤してきた結衣菜さん。
ドレスに着替える前にタイムカードを押して欲しいとお願いしに来た。
海斗がそんなの無理だと断ると不貞腐れたように更衣室へ行く。
準備を終えて出てきた結衣菜さんに15分の遅刻罰金の旨を伝えると、「チッ!」と言う舌打ちと共に待機席へ。
その後、何やら待機席にいたキャストと話した後、携帯を持ってバックヤードへ消えた。
すでに営業が始まっていた為、海斗は付け回しを行い、あえて結衣菜さんを気にしないようにした。
段々店が忙しくなり始め、ヘルプのキャストが足りなくなった頃、結衣菜さんの様子を見に海斗はバックヤードへと向かう。
そこで結衣菜さんはタバコを片手に携帯で笑いながら話していた。
海斗には、結衣菜さんがバックヤードで何をしているか、ある程度予想が出来ていた。
海斗は結衣菜さんを一瞬睨み付けると、無言で結衣菜さんに近づく。
身構える結衣菜さんをよそに、海斗は火の点いたタバコを握り潰し、取り上げる。
海斗はそのまま何も言わずにバックヤードを出て、
キャッシャーにいる坂東マネージャーに伝える。
「今日の結衣菜の日当は俺が払いますから、何があっても帰さないでください」
「お、おう。わかった」
坂東さんは海斗の迫力に一瞬驚いた後、了解した。