闇夜に輝く
第49章 衝突
さらに数日が立つと、結衣菜さんが同伴の日は、まだボーイ達が開店準備をしている夕方に一旦店に来てメイクなどの支度をする。
そしてボーイ達に「行ってきまーす」と言いながら同伴客との食事に向かうようになった。
何回かそんな事があったある日、その日も結衣菜さんを同伴に送り出した後、増田さんから話しかけられる。
「いやぁ、海斗の色管理は強烈だな」
「はぁっっ??」
思わぬ言葉に変な声が出る海斗。
増田さんがニヤニヤしながら話す。
「わかんねーか?結衣菜がこんなに早く出勤してくるのは、海斗と少しでも一緒に居たいからなんだよ。だって海斗が買い出しとかで店を離れてる時に結衣菜が出勤してくると「海斗さんは?」て聞いてくるもんなぁ」
「うーん、この前のミーティング以来、元気になったし、やたらと話しかけられるなぁとは思ってました。けど付き合ってる訳じゃないですよ」
「まぁそうだろうなぁ。付き合ってたり、枕管理をしてたらああはならない。逆に周りに怪しまれないように店では仲良くない振りをするもんだからな。それに他のキャストに海斗が気に入られないように悪口を言いまくる場合もある。まぁ、でも結衣菜に関しては海斗に任せてるから色管理でも枕管理でもどっちでもいいんだけどな。それより結衣菜に怒鳴ったんだって?」
「あ、はい。何か文句言ってました?」
「ククク、お前もやっと一人前になってきたな。結衣菜が言ってたぞ。この店で絶対に怒らせちゃいけないのは海斗だって」
「はぁー。増田さんにまで伝わってるんですか。あいつ、すぐ人に喋るからキャストもその事を聞いてくるんですよ」
「ははは、こんな事も言ってたよ。営業電話ってウソを見抜いてたのに、それには触れずにタバコを吸いながら電話する事を怒られたって。ウソをつくなって怒鳴られたらどうしてそう決めつけるんだって反論しようとしたらしいが、その事を突かれた瞬間にこの人には屁理屈が通じないって悟ったんだとよ」
そう言って大爆笑する増田さん。