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闇夜に輝く

第50章 パトロン



しかし、それまで中々出来なかった結衣菜さんとのミーティングもこの時間を使って出来るようになり、それが思わぬ効果をもたらした。

まず、18時半から19時過ぎまではボーイ達の唯一の長い休憩時間で夕食を食べながらダラダラとしている。
その空気の中で結衣菜さんもカウンターに座り化粧をしたり、スマホをいじったり、買ってきたお弁当を食べたりして溶け込んでいる。
なので坂東さんや増田さんも気軽にアドバイスを送る。
先日、海斗から提案した結衣菜さんの顧客ターゲットに関する有用なアプローチ方法を、海斗だけでなく経験豊富な増田さんや坂東さんからも教えてもらえることで結衣菜さんの接客にもプラスに働く。

また、それを側で聞いている山田君も勉強になるらしく、結衣菜さん以上に真剣にメモを取る。

そして19時を過ぎると徐々にボーイ達がそれまでのダラけた空気から営業モードへ切り替わっていく。
ゴミを片付け、歯を磨き、髪をセットし、ネクタイを締め、インカムを付け、ダウンライトをし、営業用BGMに切り替える。
山田君以下の役職のボーイ達は店内チェックを始める。
各役職の黒服はその日のリストを確認したり、営業目標を話し合ったり。
その過程で徐々に黒服達は緊張感を持った雰囲気へと変わっていく。

その空気を察すると結衣菜さんもヘアメイク室へ移動し始める。
良い意味で結衣菜さんにも『仕事スイッチ』が入るのである。
そして20時の営業開始前には完璧に支度を済ませた結衣菜さんが一番で待機席に座る。
その時にはある程度、営業メールを済ませた状態なのですぐさまその日の接客に集中できる。


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