闇夜に輝く
第51章 黒服として
風紀と色恋管理の決定的な違い。
個人的な感情を殺してキャストと疑似恋愛が出来るか。
それが成績に繋がるか。
暴走しないように管理ができるのか。
増田さんは海斗が黒服としての役割を果たす事が出来るか、それを見定めるかのように、真っ直ぐに見つめる。
その目はどんな感情も読み取れない漆黒の闇がただ広がっていた。
しかしそのエキゾチックな目の色は相手を圧倒する力強さがあった。
海斗は絞り出すように言葉を発する。
「自分に出来るところまで……、やってみます」
そう言ってみたものの、正直乗り気ではなかった。
田舎から上京し、どこか都会の夜の空気に馴染めていないサラさんの不安定さを利用し、お金への依存度から海斗への依存度を増すように誘導する。
けれど、もしそうする事が出来れば、今後サラさんがどの様に変わっていくかをある程度コントロールすることは可能なのではないか。
サラさんがキャバで働きながらも就活をし、大学を卒業するまで見守っていく方向へ持っていけば、道を踏み外す可能性は少ないのかもしれない。
そうして、海斗は感情を意図的に消す事を決意する。
黒服としての資質が問われる作業にまた一歩足を踏み入れていくこととなった。